■mixilog/#2 PeachSea。
色あせた桜。
遠ざかる冬の気配。
ああ、わたしが愛した風は何処へ行ってしまったの?
その新緑の葉の
最期の一枚を手放す前に、
たった一度でいいから、
また、あの頃のように、
葉を、
枝を、
いつか咲く桃色の花びらを、
もてあそぶように、
くすぐるように、
さらさらと撫でて欲しかった。
声はもう届かない。
涙はとうに枯れてしまった。
独りはいやだ。
独りは怖い。
独りは寂しい。
独りは…。
蒼く深く沈んでゆく、
その海の色だけが、
世界に満たされていた。
桃の香りの、海の向こう。
桜が愛した風のお話。
余談。